7月は 夏の集会だー!



To 浅野

「 …… 」
―コレをどーしろって?
目の前には郵便物が大きな紙袋いっぱいに入っていた。
「どないしてん?」
「いや…なんか貰いました」

そう、さっき『おかげでした』の収録スタジオに久々に入った。仕事の用事で入っただけだったから必要以上に誰にも声をかけずに出て行くつもりでいたのだけど、けれど丁度ドアのところまで行った時に声をかけられた。
「浅野? 丁度いいトコ来たな」
―いや、帰るとこだったんですけど
「こっち来て、こっち」
スタジオの奥から出てきた平山さんに呼ばれてそこへ行けば山積みの郵便物。
「何ですか、コレ」
「プレゼント」
よく見るとそれぞれには切手や宛名書きがあって、もちろん平山さんや神波さん達宛のもあった。
「ファンの娘達が送ってくれたんだよ。 お前のもそこにあるから」
「はぁ…」
平然と言ってのける元野猿のボーカルは山の前に屈み込んで仕分けを始めた。
「…野猿はさ、もうなくなっちゃったけどこーゆーことしてくれる子はまだいっぱいいるんだよ。
 でも俺達はただのスタッフ。もう歌手じゃないんだけどね、頂いちゃってるんだ。」
そう言う表情はテレビでもよくやっていた困った顔で俺を見上げて来た。
「お前もその一員なんだから、ありがたく貰っとけよ」

それで今に至っている訳なのだが。
―コレじゃあ持って帰るのも一苦労じゃないですか
少し呆れながら再び袋の中身に目を落とす。
『To 浅野吉朗さま』
その辺にあるメモ帳に走り書きされたような文字。見るからに男の字だったけれど持ち上げてみればまだ何かくっ付いていた。
『仕事お疲れ様。これはもらっとけ』
裏返してみれば裏にテープでくっ付けられていたコンビニでよく売っている煙草とライターのセットがあって。
「…いつものと銘柄違うんだけどなぁ」
普段はほとんど喋らない彼らからのプレゼント、なのかもしれない。
『ハッピーバースデー!  メンバー一同。』
こんな歳になって誕生日を祝われるとは思っていなかった。しかも職場の、元メンバーという大の大人の男に。
何だか可笑しくなって笑って、誰も聞いちゃいないけど、感謝を述べる。
―ありがとうございます

ハッピーバースデー 浅野吉朗!

by 美歩さん